協働ロボットの要件①

こんにちは、トロボです。

知人からROBOTIQ社のCollaborative Robots Buyer’s Guideを教えてもらったのですが、20社34の協働ロボットが値段入りで紹介されており、なかなか有益な情報が含まれています。いくつか知らない会社・ロボットもあり、まだまだ新たな協働ロボットが登場しそうな機運を感じた次第です。

ところで、何をもって「協働ロボット」なのでしょうか?

「人の近くで安全に作業できるロボット」と言えばその通りですが、このような漠然とした定義では事業に直結しそうもありません。ここでは、法令や規格の面から協働ロボットの要件について整理してみたいと思います。

と、素晴らしいオリジナルレポートが出てきそうな導入ですが、言いたいことが日経ロボティクス2017年6月号『“80W規制緩和”の数値は一度忘れるべき 協働ロボットの安全に関する大きな誤解』に簡潔にまとめられており、特に使用されている図が非常に分かりやすかったため引用します。


出典:日経ロボティクス2017年6月号 P.16

この図にあるように、日本と海外で、協働ロボットに求められる要件が異なります。まず、大きな違いは、日本の場合、80W規制が存在することです。これは、厚生労働省令である労働安全衛生規則において、ロボットに使用される最大出力のモータの定格出力が80W以下の場合、「産業用ロボット」としてみなされないというものです。そのため、同規則に定める「さく又は囲いを設ける等」の措置が不要になり、協働ロボット導入の制約が緩くなる訳です。例えば、カワダロボティクスのNEXTAGEなどは、このカテゴリで勝負しています。

一方、モータの定格出力が80Wを超える場合は、産業用ロボットのための安全要求事項であるISO 10218-1/2や、協働ロボットの安全性を規定した技術文書であるISO/TS 15066への適合が義務付けられています(第三者機関からの認証でなく自己宣言でよい)。

【参考】ISO 10218と対応するJIS文書
B 8433-1:2015 (ISO 10218-1:2011)
B 8433-2:2015 (ISO 10218-2:2011)

では、誰がこうした要件を定めているのかということですが、日本においては厚生労働省のようです。上述した労働安全衛生規則もそうですが、ISOへの適合の義務も厚労省からの通達ガイドラインに示されています。

次回は、産業用ロボットを取り巻く労働安全衛生規則の詳細に立ち入ってみたいと思います。

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